イタコは消滅の危機
イタコって何かご存知ですか?
最近はあまり”イタコ”って聞くことも少ない気がするのですが、ご年輩の方でしたら”イタコ”の存在をご存じだと思います。
イタコといえば”恐山(おそれざん)”や”霊媒(れいばい)”、”青森”などを連想するのではないでしょうか。
イタコは、青森県の下北半島に位置する恐山などで活動しています。
最近では人数が少なくなってしまい、消滅の危機になってます。かつてはたくさんのイタコが活動なさってましたが、現在では、最後のイタコと呼ばれている”松田広子”さんのあとは消滅するだろうと言われています。
ご年輩の方々はご存知の方も多いようですが、最近のお若い方々は、イタコについてご存じない方がほとんどだと思います。
もし、ご存じならば、スピリチュアルや超常現象に関心が深い方かもしれませんね。
イタコのお仕事は、一般的に死者の霊を呼び出してお話をすることです。
しかし、イタコのお仕事などについては、いろいろあるようです。
イタコが消滅の危機であるといわれ、長年あった風習がなくなるのも残念な気がします。よい機会ですので、イタコについて理解を深めてみましょう。
イタコの発祥
イタコの発祥といえば、青森県の八戸市だそうです。イタコといえば恐山というイメージがあるため、恐山発祥かと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、恐山ではなく八戸市でした。
イタコは昔は、生まれながらにして盲目の方や、幼い時期に盲目になってしまった女の子が、イタコの師匠のもとに弟子入りし、厳しい修行を積み、チャネリングなどの能力を開いてイタコになったそうです。
目の不自由な方が将来の生活のためにイタコに弟子入りしたとのことです。
身体のどこかが不自由だったら、どこかの感覚が鋭くなるとよく聞きますね。目が不自由だから、チャネリング感覚が秀でてイタコになれるのかもしれませんね。
イタコの口寄せ 悲しみに寄り添う役割
イタコがいつ頃からいたのかは、歴史的に確実なことは不明ですが、明治時代の終わりごろからいたのではないかといわれています。
その頃、日露戦争や日清戦争などにより亡くなられた人々の魂の多くが、恐山へ向かったとのことで、イタコも死者の魂と会話するために恐山へと行ったそうです。ゆえに恐山がイタコの聖地となったのですね。
死者との会話は、イタコの場合では”口寄せ”と言われています。これはおそらくチャネリングのことですね。
当時の残された多くの遺族たちは恐山へ通い、イタコの口寄せをお願いしたそうです。
イタコの口寄せが本当なのか偽りなのかということは昔からもちろん議論の対象でした。
目に見えない世界の話ゆえに、本当の事なのか、偽りではないのかというような問題はいつもつきまといます。
しかし、その頃、戦争などでご家族を亡くしてしまった方々にとっては、それが真実か否かはどうでもよく、ただ亡くなってしまい、もう会えない家族と話せて嬉しい気持ちしかなかったのでしょうね。
イタコには、そのような感じで残された人々の悲しみに寄りそうという役割もあったのです。
戦争で大切なご家族を亡くして藁にでもすがりたい気持ちの遺族達の気持ちにイタコ達が深い心で寄り添っていたのでしょう。
深く寄り添うことで見えてくる世界もあっただろうと思われます。